「ReHacQ新潟に登場するNSTって、どんなテレビ局?」。新潟で暮らしてきた人にはおなじみでも、県外から動画を見た人には、少し分かりにくい名前かもしれません。
NSTは、1968年に放送を始めた新潟の民放テレビ局です。現在はフジテレビ系列ですが、開局時は複数の系列の番組を放送していました。半世紀以上の歩みを知ると、ReHacQとのタッグも「テレビ局がYouTubeを始めた」という一言では片づけられなくなります。
この記事では、NSTの歴史、ReHacQ新潟との関係、これから注目したいことを整理します。昔のテレビが懐かしい方にも、ReHacQから新潟を知った方にも、両者をつなぐ入口になればうれしいです。
本記事は番組・放送局とは独立した非公式の解説です。公式資料で確認できる事実と、筆者の見方を分けて記載しています。情報確認日:2026年10月16日。
ReHacQ新潟とNSTのタッグで、何が始まった?
ReHacQ公式動画では、「ReHacQ新潟」の始動とともに、地方テレビ局の未来をめぐる対談が公開されています。出演は、高橋弘樹氏、スーパー・ササダンゴ・マシン氏、NST報道部長の丘山慶氏。テレビとネットを、作り手それぞれの立場から考える内容です。
動画の説明欄によると、収録は2026年9月27日のNSTまつり。動画公開は10月14日です。イベントでの収録日と、YouTubeに公開された日は分けて押さえておきましょう。出典:ReHacQ公式「『ReHacQ新潟』始動!地方テレビ局に未来はあるのか?」。
「フジテレビ系列」と「ReHacQとの連携」は別の話
NSTの会社概要では、現在の放送事業はフジテレビ系列とされています。一方、ReHacQ新潟は動画メディアとしての企画・発信の取り組みです。今回のタッグを、NSTの放送系列が変わったという意味で捉える必要はありません。
たとえるなら、普段の仕事を続けながら、社外の人と新しいプロジェクトを組むようなもの。番組を届けるための放送ネットワークと、新しいコンテンツを一緒に作る関係を分けると、話がすっきりします。なお、契約や出資の詳細まで、この対談だけから判断することはできません。
番組全体を初めて知る方は、ReHacQ新潟とは?NSTとの関係・箕輪氏の役割・配信の見どころもご覧ください。ここからは、相手役であるNSTの歩みをたどります。
NSTの歴史|1968年、3系列の番組を届ける局として出発

NSTの前身となる新潟総合テレビは、1968年3月2日に設立され、同年12月16日に放送を開始しました。会社ができた日と、テレビの電波を通じて番組を届け始めた日は異なります。
開局時に組んでいたのは、フジテレビ、NTV、NETの3系列。NTVは日本テレビ、NETは現在のテレビ朝日につながる名称です。一つの放送局が複数の系列に属する形を「クロスネット」といいます。
今の感覚で「NSTならフジテレビ系」と思っていると、少し意外ではないでしょうか。地方のテレビの歴史をたどると、現在のチャンネルの役割分担が、最初から完成していたわけではないことに気づきます。
1980年代、新潟のテレビの顔ぶれが変わる
新潟では1981年4月1日にテレビ新潟が本放送を開始し、1983年10月1日には新潟テレビ21がテレビ朝日系列の局として開局しました。各局の公式沿革からも、この時期に放送環境が変わったことを確認できます。出典:TeNYの略史、UXの沿革。
NSTの公式沿革では、1983年10月にフジネットワークの完全ネット放送へ移ったと記されています。開局時の3系列クロスネットから、現在につながるフジテレビ系列の局へ。この変化が、NSTの歴史を知るうえで大きな節目です。
昔の番組を思い出すとき、「あれはどの局で見ていたんだっけ」となることがあります。記憶違いと決めつける前に、当時の放送局やネットワークの変遷を調べてみると、別の景色が見えてくるかもしれません。
社屋も、映像も変わった|NSTの主な節目
| 時期 | 主な出来事 |
|---|---|
| 1968年3月/12月 | 会社設立/放送開始。開局時は3系列のクロスネット |
| 1983年10月 | フジネットワークの完全ネット放送へ |
| 1991年10月 | 長岡の放送センターを新潟本社へ移転統合 |
| 2004年10月 | 新潟市中央区八千代の新社屋から放送開始 |
| 2006年4月/2011年7月 | デジタル放送開始/アナログ放送終了 |
| 2019年10月 | 現在の「NST新潟総合テレビ」へ社名変更 |
出典:NST公式「会社概要・沿革」。上の年表は主な節目を抜粋したものです。2026年の連携については、前掲のReHacQ公式動画を参照しています。
年表で注目したいのは、放送を届ける場所と仕組みが変わってきたことです。長岡の放送センターから新潟本社への移転統合、新しい社屋からの放送、そしてデジタル化。普段は番組の裏側に隠れている設備や拠点にも、長い積み重ねがあります。
視聴者にとっては、テレビを買い替えたり、チャンネルを設定し直したりした記憶と重なるかもしれません。放送局の沿革は会社の出来事ですが、見方を変えると、私たちの家の中で起きた変化の記録でもあります。
「新潟総合テレビ」と「NST新潟総合テレビ」の違いは?
現在の正式社名は「株式会社NST新潟総合テレビ」です。沿革には、2010年に呼称をNSTに統一し、2019年10月に現在の社名へ変更したとあります。新しい局が2019年に開局した、という意味ではありません。
昔からの呼び名を覚えている方と、最近の表記から知った方では、同じ局でも頭に浮かぶ名前が違うことがあります。記事や動画を探す際に両方の名前を知っていると、過去の情報にもたどり着きやすくなります。
NSTとネットの接点は、ReHacQが初めてではない
ここは誤解したくないところです。NSTがネット向けの発信に触れるのは、今回が初めてではありません。
例えば「潟ちゅーぶ」。NST公式ブログの2021年4月5日の記事では、4月3日のレギュラー初回放送を報告するとともに、YouTubeの見逃し配信や視聴者からの動画募集を案内しています。テレビ放送とネットの視聴・投稿をつなぐ取り組みが、この時点ですでにあったことが分かります。出典:NST公式「『潟ちゅーぶ』レギュラー放送♪」。
だから今回のReHacQ新潟は、「ネットを知らなかったテレビ局の初挑戦」と見るより、すでにある発信の経験に、異なる作り手や視聴者との接点を加える動きとして見ると面白いと思います。これは公式発表の言い換えではなく、過去の取り組みを踏まえた筆者の見方です。
地元では説明しなくても通じることほど、県外の人には分からないものです。「その場所は、なぜ大事なの?」「その商売は、どう続いてきたの?」。外からの素朴な問いが、地元の人には当たり前だった話を、もう一度語るきっかけになります。
半世紀以上の歴史は、これからの動画に何を残せるか

ここからは、NSTの歴史と対談を踏まえて、筆者が今後期待する見方です。ReHacQ新潟で実施が決まった企画を紹介するものではありません。
1.地名の向こうにある「暮らしの変化」を見せる
同じ海岸や商店街でも、「きれいな場所ですね」で終わる動画と、「ここで何が変わってきたのか」まで分かる動画では、見終えた後に残るものが違います。昔を知る人の話と今の風景を並べれば、観光案内に時間の奥行きが生まれます。
例えば紫雲寺のように、現在の風景と土地の歴史を合わせて見ると興味が広がる地域もあります。地名からもう一歩深く知りたい方は、紫雲寺の海・公園・田んぼに隠れた歴史へどうぞ。
2.古い映像を「懐かしい」で終わらせない
前掲の対談では、過去の地域映像を活用する可能性も語られています。昔の街並みは、ある人には青春の風景であり、別の人には初めて見る社会の姿です。誰に向けて、何を補足するかで、同じ記録の伝わり方は変わります。
ここで大切なのは、古い映像があれば何でもそのまま再利用できる、と考えないこと。公開する際には権利や映っている人への配慮、撮影時期の説明も必要になります。視聴者としても、「いつの映像なのか」を確かめるだけで、現在の状況との取り違えを減らせます。
3.再生数の先に、地域への関心が残るかを見る
動画が話題になることは入口です。その後で、紹介された町を調べたくなる、店や作り手の仕事に関心が向く、地域の課題について家族と話したくなる。そうした変化にも目を向けたいと思います。
歴史の長い局と、新しい視聴習慣を持つメディアが組む面白さは、この接点にあります。成功するかどうかを今から決めつけず、一本ずつ、何を伝え、誰に届こうとしているのかを見ていく。それだけでも番組の楽しみ方が深まります。
対談そのものの論点は、ReHacQ新潟×NSTが語る地方テレビの未来にまとめています。今回の歴史編と合わせると、「これまで」と「これから」をつなげて読めます。
NSTとReHacQ新潟について、よくある疑問
NSTはいつ開局したテレビ局ですか?
1968年12月16日です。会社の設立は同年3月2日。設立と開局は別の日付です。
NSTは何系列ですか?
現在はフジテレビ系列です。開局時はフジテレビ・NTV・NETのクロスネットで、1983年10月にフジネットワークの完全ネット放送へ移りました。
ReHacQ新潟はどこで見られますか?
ReHacQ新潟の公式YouTubeチャンネルで配信を確認できます。今回取り上げた対談は、本文中のReHacQ公式動画から視聴できます。配信内容や公開状況は各公式ページをご確認ください。
知っているテレビ局を、もう一度見直してみる
NSTの歩みには、3系列での開局、フジ系列への一本化、放送拠点の変化、デジタル化、ネットを使った発信と、いくつもの節目がありました。ReHacQ新潟とのタッグも、その続きとして眺めると、見え方が変わります。
次に動画を見るときは、話の面白さに加えて、「この土地で積み重ねてきたものは何だろう」と考えてみてください。昔を知っていることが、新しい話を楽しむ手がかりになる。そんな見方ができるのも、大人の視聴の楽しみです。
NSTや新潟のテレビについて、覚えている番組や、今後掘り下げてほしいテーマがあればお寄せください。地域の発信や、経験を活かした情報整理についてのご相談も、ohta@latebb.comへどうぞ。※当ブログへのお便り窓口です。番組・放送局の公式窓口ではありません。
